目次
執筆者概要
渡辺 しづ
学部時に自費留学を初めて経験。どこのエージェンシーも使わず日本の大学を卒業した後、アメリカに戻るとともにGA (Graduate Assistantship)のシステムで実質大学院には学費を払わず、給料をもらいながら博士号まで取得。博士号取得後はOPTを利用し、カリフォルニア大学で博士研究員をしながら弁護士を雇いグリーンカードを取得。
経歴概要
以下は実際のインタビュー動画になります。
要約
私は学部生の時に自費留学を初めて経験しました。この留学はどこのエージェンシーも使わず一人ですべて準備しました。日本の大学を卒業した後、アメリカに戻るとともにGA (Graduate Assistantship)のシステムを知ることになり実質大学院には学費を払わず、給料をもらいながら博士号まで取得しました。
博士号取得後はOPTを利用し、カリフォルニア大学で博士研究員をしながら弁護士を雇いグリーンカードを取得しました。その後ハワイ大学にて次席研究員として研究をして今に至ります。私の学部留学、修士留学、白紙留学それぞれについてお話します。
費用
留学にかかる年間の費用(以下の金額(特に授業料など)は年度によって変化しますので、およその値になります
ルートのメリット
(学部留学)
- 行きたい大学、学部に行ける
- 自分の所属する日本の大学、学部から縛りを受けない
- 一年という短い期間なので実現可能な資金の必要性
(修士留学)
- 博士に行くのはちょっとtoo muchと考えている人はお試し感覚で2、3年アメリカで大学院生になれる
- 長いコミットメントがない
- 学費がかからない上に給料ももらえる
- アメリカが肌に合わないと感じたらその後すぐ日本に帰ってこれる
(博士留学)
- 自分のしたい研究をお金に心配なく心いくまで存分に楽しめる
- アメリカでのネットワークができる
- アメリカでの研究がどのように行われるか仕組みをしれる
- アメリカで就職がしやすくなる
ルートのデメリット
(学部留学)
- 学費を正規料金で払わなければならない
- 留学の準備を全部自分でしなければならない→時間、労力、コミットメントが必要
- 寮費、生活費、学費を考えると財政的に余裕がないと難しい。
(修士留学)
- アメリカ滞在が短い
- アメリカでのネットワークが作れない
(博士留学)
- 日本でのコネクションが作れない(就職に不利)
- 時間がかかる(3年で博士をアメリカでとるのは稀)5年以上は当たり前
- 卒業のシーズンが予測不可能なためその後日本に復帰したい時には就職活動が難しい
留学先
4年制大学:(ハワイ)
University of Hawaii Hilo
メリット | 説明 |
ハワイで日本人が少ない | 日本人が比較的少ないので日本人同士で群れて英語が喋れない、という機会が作りにくい |
学費が安い | 学費がメインランドの大学に比べて安い |
コミュニティ | パシフィックアイランダーとたくさん知り合いになれる(ハワイ大学はサモア、パラオの国と特別の協定があるのでその辺の国からの留学生が多い)日本人に対して非常に好意的 |
気候 | 動画にあったように気候がよく、車がなくても不便だが大丈夫 |
デメリット | |
田舎にある | メインランドの文化と違う。都会が好きなら少し退屈 |
大学院留学
University of Hawaii Manoa(大学院)
メリット | 説明 |
GREの条件 | アイビーリーグほどGREで高得点を要求されない |
TA/RAになりやすい | 入学しやすく、TAまたRAを取りやすい(理系の場合) |
奨学金 | East west center といって環太平洋の生徒に対しての奨学金制度が整っている |
デメリット | |
生活費 | 生活費が高い。お金があれば楽しめる |
日本人が多い | 日本人が多く混んでいるが、日本の文化がいたるところにあるのでホームシックになりにくい |
留学の第一歩
留学はここから始まった。。。大学に入ってからずっと留学したいと思っていたのですがなかなかその一歩を踏み出せずにいました。たまたま授業をとっていた物理化学の先生に留学したい、と相談しに行ったことで気持ちが固まりました。先生に背中を押してもらったこともあり準備に取りかかることができました。
留学ルートの計画表(時系列)
学部の時系列
留学先決めSecond Bachelorという選択肢
みなさん、日本の大学を卒業した後に取れる選択肢は大学院に行くや就職だけだと思っていませんか?実はアメリカでは第二の学部(Second Bachelor)というのがあり、私はこれを利用して初めて日本の大学を卒業した後に自費でアメリカ学部留学を経験しました。詳しくは セカンドバチュラーとは?日本の大学卒業してアメリカで第二の学士を取る選択肢
入学条件にSATはなく、TOEFLだけでよかったです。すでに日本の大学で学部を卒業しているので2年間だけで卒業ができるので費用の節約になります。
しかも一番大事なのはこの学部留学で知り合った教授のおかげで大学院でアメリカに戻ってくる際にTA/RA制度で授業料が免除になるという、つまり最初はどんな形でも留学して現地でコネクションを作るのが非常に大事なんです!
次は私がハワイで滞在先を探す方法を解説したものです。 ハワイ留学で住む場所の探し方!
TOEFL受験
コミカレ入学は日本のようなセンター試験はなく、TOEFLの点数をクリアするだけになります。TOEFLの点数を留学なしで短期間で上げたい方は 留学なしでTOEFL ibtを短期間で100点まで上げた勉強方法 を読んでみてください。なるべく入学の手続き締め切りより2-3か月前にTOEFLの点数はクリアできるようにしましょう。
入学に必要な書類準備・VISA申請
よく留学斡旋会社を通して入学手続きをする学生がいますが、入学手続きは決して自分でできないようなものではありません。次の 実際に私はこの方法でアメリカのコミカレの入学手続きをしました でどうやって手続きをしたかステップごとに解説してあります。こいうった手続きをじっかりと自分でやるという経験はほかの大学編入時(かなり多くの大学に申し込むので)に必須になってくるスキルなので自分でやることをおすすめします。
大学院の修士課程の時系列
GA(授業免除の方法)として雇ってくれる教授探し
すでにアメリカにSecond Bachelor Degree の生徒として8月から授業をとっていました。しかし途中で大学院に行きたくなり、Second Bachelor Degreeの生徒として在籍しながら修士過程に入学しようと決めて、準備を始めました。
アメリカの大学院には学費免除と給料が支払われるGraduate Assistantship (GA)制度があります。GA制度をサポートしてくれる教授を見つけるのは個々人で行ったりします。 GA制度の詳細は RA・TA・GAで私が実際に授業料免除でアメリカの大学院に通った方法
また、GAとして雇ってもらう方法として教授のもとでボランティアとして働くという方法もあります!こうして教授とのコネクションを強めるのがなによりも大事です。
修士課程は本当に大変!?
目標:GPA3.0を保つ
確かに大学生の時にはGPAを高く保つことは大事です。しかし大学院になると、みんなほとんどオールAが当たり前、みたいになります。そして大学院では一定のGPA以下になると除籍させられたりします。成績はAで当たり前、というとてもストレスフルな大学院生活です。
理系の大学院の場合、大学院でとる授業は自分の指導教官の授業だったり、同じ学部の先生だったりで、成績が悪いとかなり印象が悪いです。アメリカは小テストが多いので、毎週毎週テスト前のような感じでした。それぐらいいつも勉強していました。おそらくアメリカで大学院生をしている人で遊んでばっかりいる人はいないと思います。それぐらいかなり勉強していました。私が面倒見ている研究室のアメリカ人の生徒もいつも勉強していて、大変そうです。でもみんなそれぐらいしてオールAを取ろうとします。
確かに先生に質問に行くことはとても大事だと思います。先生といい関係を築くということは大事です。テストで失敗したな、と思ったらすぐ先生に話に行き、何かmake up できる課題をくれないか、とか、Aがとりたいからどうやったら巻き返せるか、など相談しに行くことも大事だと思います。とりあえず成績をあげるためだったらなんでもする、という姿勢は大事だと思います。
大学院になると自分の研究もしないといけないので、クラスの準備と自分の研究の狭間で悩む生徒が多いようにも思います。授業の勉強ばかりしていると研究がおろそかになるし、研究ばかりしているとテストの成績が下がるし。どちらにしてもアメリカの大学院は大変です。遊ぶ間も無くこもって勉強か研究をしているのが現状です。
大学院の博士課程の時系列
新たに研究室探し
私は博士号を始める前はすでにアメリカで修士課程の生徒でした。修士号が始まって3セメスター目の終わりに、卒業目前の最後のセメスターのGA制度の打ち切りを突然告げられました。なので新たに研究室を探す必要があり、上記のGA制度解説してある方法で今度はPhd(GA付き)で合格しました。
博士課程で成功する方法
Ph.D. in the USAに私の博士課程でのことを詳しくまとめてあります。
目標:3年間でPhDをとる!
戦略:実験をしまくって結果を出しまくって論文を出しまくる
1年目:とりあえず実験をしまくる。2本論文を出す
2年目:とりあえず実験をしまくる
3年目:プロポーザルセミナー、PhD candidacy exam, PhD defense seminar をおこなう。
これはかなり無謀な計画ですが実際やって見て、アメリカの理系の大学は結果さえあれば(論文さえちゃんと発表しておけば)卒業できるのだな、と学びました。私は最終的にPhDの研究は5本論文になりました。論文さえ書いていたら誰も卒業に関して文句を言いません。
留学後の進路
抽選でもなく結婚もしないでグリーンカードを取得した方法
アメリカにはなんと結婚以外にグリーンカードを取得する方法があります。それは国益免除枠といい詳しくは次の記事にまとめてあります。 結婚しないでグリーンカードを取得できる国益免除とは?
アメリカの博士課程を卒業後の就活
アメリカで理系のPhDをとった場合、日本において外資系の就職にかなり有利になります。実際に私もリクルーターと日本においての就職について話しましたが、外資系大企業でのいい条件での就職の話をいくつか提案されました。
これは学部卒、MS取得後でも同じで、日本人である私たちがアメリカで学位を取った場合、一番価値のあるマーケットは日本での外資系の企業です。アメリカでいい成績を保ちながら卒業を目指すのは大変ですが、卒業後はいい就職が期待できるので頑張ってください。
また上記の留学中毒は留学のリアルを教えてくれる本です。留学理由から留学のコスト、本当の日常生活の大変さ、気になる英語の必要性など、留学に憧れている人や留学する人には是非読んでもらいたい内容になっています。他の留学本と違い、 著者が留学後もアメリカで 生活をし、働いているので、 実際アメリカ人と共に働くことの実態も知ることができます 。留学と就労の違いや、留学から就労するまでの大変さなど全てが丸わかり